HOME > 前川日記 > 前川日記 2017.11.11.~20.昭和17年のパスポート。「大日本帝国外務大臣従三位勲一等東郷茂徳」だって。

前川日記

11/21(火)

歩く。
今日のコースの入り口に池がある。晩秋の景色だ。

昨日、父の墓参りで兄に会ったら、「こんなものが出てきた」といって見せてくれたのが、父のパスポート。戦前大倉商事という商社の社員として戦争物資調達のためだろう、バンコクを拠点に東南アジア各地を回った記録がそこにある。最後はペナンの責任者だったようだ。


それにしても、外務大臣の名前の前に<従三位勲一等>とあるのはなんとも時代を感じさせる。よくまあ、こんなものが残っていたものだ。昭和17年8月と言えば、私が生まれて1年少し後。ミッドウェーの海戦の直ぐ後だ。
昭和20年の敗戦で、父はジャングルの逃避行の末昭和21年帰国。その間に妻(私たちの実母)は結核で死去。父自身も結核で昭和30年に死んだ。


父が死んだのは私が中学二年の時だ。鎌倉の私立中学から転校した板橋区の中学の連合学芸会の日で、演劇の出演者だった。出番が終わった時に、校長と担任の教師が「お父さんが亡くなった」と言った(と思う)。入院していた慶応病院までタクシーで付き添ってくれた。兄はまだ病院に来ていなかった。一人で父の唇にガーゼで水を含ませた。その年の五月に死んだ継母に続いてのことで、涙も出なかった。それから翌日の伯父の家での通夜まで、長い一日だったことを覚えている。その頃の慶応病院の結核病棟は、今の予防医療センターの場所だったのではないだろうか。中央線の線路が近かった。空気の冷たいいい天気の日だった。


後に「役者は親の死に目に会えない」という言葉を聞いてまことにその通りと思ったものだった。
などなど、色々思っているうちに外は夕景。

11/22(水)

事務局。

11/23(木)

朝、雨。
前川会反省会。原宿「南国酒家」。10年ほど前に<いとこ会>として始まった集まりだが、今従兄弟世代は少なくなってきた。もともと私より年長の従兄弟は15人ほどいたのだが、今では兄を入れて5人だ。これからどうしよう。それをどうして決めようか。
下の世代に任せるとしても、その求心力はなかなか難しかろう。
帰りは陽射しあり。

11/24(金)

事務局立ち寄りの後、三菱一号館美術館。



「バリグラフィック ロートレックとアートになったポスター展」
それなりに面白い展示だった。ロートレックは気になる画家だ。絵画というアウラの世界をデザインという市場に登場させた。ベンヤミンの時代のもう一つの展開。
数年前の<ロートレック展>の時、「ディヴァン・ジャポネ」を一枚購入。
それにしても、このポスターがなんで「ディヴァン・ジャポネ」といわれるのかという解説がなかった・・・と思う。不思議だ。
ということはさておき、この建物を美術館にしたのはなかなかのアイディアだ。
見終わってから、お堀端に出て帝国ホテルまで。
「山田風太郎賞」受賞祝賀パーティー。
このパーティーに出席するのは、そもそも山田風太郎の短編推理小説二作をベースにしたドラマを佐々木守脚本で制作したことによる。佐々木守さんと[山田風太郎+日本国憲法]というキーワードで何ができるかというところから話は始まった。ザ・サスペンスという枠で、1984年に「娘たちの復讐―日本国憲法殺人事件―」というドラマを制作した。キャンディーズ解散から復帰した田中好子と三浦洋一が主演だった。
それから30余年、風太郎さんを偲ぶ「風々忌」で、上映開設する機会があり、風太郎さんの郷里である八鹿にある風太郎記念館に出向いたのだった。そのことは、以下をご参照頂きたい。
「八鹿紀行」
それ以来、「山田風太郎賞」の贈賞式とパーティーに招待される。そのように遇して頂けるのはあり難い。しかし、出版界にはとんと縁がない。八鹿でお世話なった風太郎夫人にご挨拶すると後はなんとも話をする相手ももなく、暫しの時間を立ち尽くして退散する。今年もそうだった。さて、来年はどうしよう。


11/25(土)

昨日の疲れ?か、歩きに出る気にならない。
洗濯、掃除 など家事労働。

11/26(日)

Rと話していて、「漱石は評価しない。鴎外が良い。」といわれたけど、鴎外はあまり読んでいなかった。で、森鴎外をまとめて読み始める。

11/27(月)

庭の立ち木剪定雑草除去。
去年と同じ業者。2時間余ですっかり綺麗にしてくれた。楓が丁度紅葉したところだったので、葉のついた枝を何本か残してくれた。


夜、貸本文化会。「駒形どぜう」渋谷店。
CMクリエイター、キュレイター、NTTから吉本への転職者、建築デザイナー、出版社編集者、など。三世代も違うのに「集まりましょう」といってくれる。あり難い。

11/28(火)

「貸本文化会」のメンバーに、蔵書の中から関心のありそうなものを進呈。
書架整理、そのせいか、背中が痛い。

11/29(水)

事務機局。理事会準備。
終って、ユニオンで今野氏打合せ。
青山のイタリアンで一献。仕上げにグラッパが欲しいといったら、「切らしてます」という。それはないだろう。

11/30(木)

高校(都立小石川・現小石川中等教育学校;中高一貫)のクラスのメンバーによる「卒業してから今まで何をしてきたか」を語る会。茶話会と称している。今回はセゾングループで仕事をしてきた話。流通業界はまことに世の変遷を反映している。その中で堤清二氏の思想と行動を間近に見てきた経験など。凄く面白かった。
これまで、①テレビ、②原子力発電、③自営工場、④JAZZ、⑤銀行、⑥鉄鋼業界とコンピュータ、⑦自然エネルギーと子供の科学教育、⑧社会学、そして今回(流通)。次回は心理学。
小石川は三年間クラス替えがない。旧制五中時代からそうだったらしい。だから、クラスのメンバーの密度の濃い。とはいえ。出席は11~12名程度。


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